
「海外にあるとはいえオンラインカジノは違法なんじゃないか心配」という方が多いと思います。
もっともな心配だと思います。日本ではカジノの開催もプレイも法律で禁じられていますから。
ただし、カジノでのプレイを禁じるのは日本国内のカジノで遊ぶことに限られています。賭博罪を規定する刑法は、海外には効力が及びません。
じゃあ、海外のオンラインカジノを日本国内からインターネットで接続して遊ぶことはというと、これを明確に禁じる法律は存在しないのが実情なんですね。
過去には、海外のオンラインカジノで遊んだ人が検挙されたことがありました。それが次にご紹介する「スマートライブカジノ」事件です。非常に意味の深い事件ですのでぜひ最後までご覧ください。
スマートライブカジノ事件からみる違法性の見解
2016年に、海外の合法オンラインカジノである「スマートライブカジノ」で遊んだ人が検挙されるという事件がありました。
オンラインカジノの違法性や合法性を語る上で非常に有名で重要な事件です。
2016年3月に「スマートライブカジノ」でプレイしていた3名が、単純賭博罪で京都府警に逮捕されたのです。
このうち2人は略式起訴を受け入れて罰金を支払いましたが、一人は納得できずに正式裁判に持ち込もうとしたところ、最終的に検察側が不起訴としたのです。
当時の報道ニュースを要約すると次のようなことが書かれています。
『利用された「スマートライブカジノ」は、英国に拠点を置くオンラインカジノで、日本語版サイトが2015年9月ごろから運用が開始された。ディーラーは日本語を話し、日本語でチャットをしながらブラックジャックやルーレットなどのゲームができた。(産経新聞の記事より)』
解説記事を見ると、警察は、日本人女性のディーラーがゲームを提供し、日本語でコミュニケーションが取れ、開催時間が日本時間の夕方から深夜に設定なっていたことで、オンラインカジノの実態が国内において行われていると「評価できる」と判断したようです。
これは、海外運営のオンラインカジノでも胴元は国内にいると「見なした」ことになります。
そうしなければ、国内にしか効力が及ばない賭博罪を適用して海外のオンラインカジノで遊んだ人を検挙できませんから、そのような理屈を作り上げたわけですね。
※ 海外の合法オンラインカジノで、海外の現地で日本語が話せる人や日本人を雇うのはごく普通に行われています。
日本の法律には刑法第185条に賭博罪、第186条に常習賭博罪の規定があります。この法律は日本国内にだけ適用される法律です。マカオやラスベガスのカジノで遊んでも検挙されませんね。
海外のオンラインカジノを合法・違法に関わらず日本の国内法で取り締まることはできません。それなら、日本国内から海外のオンラインカジノを利用したらどうなるのかが本来は争点になります。
これを、海外にあるオンラインカジノが日本で行われていると評価できるという論理で争うことは、素人の私が考えても争点が「ずれた」ことだと思います。
スマートライブカジノで検挙され納得がいかず正式裁判に持ち込もうとしたプレーヤーは、弁護士と相談して正式裁判に持ち込もうとしたところ、検察側は不起訴としたことが評判になりました。
このときの津田岳宏弁護士(コールグリーン法律事務所代表弁護士)のブログはあまりに有名になりました。津田弁護士のツイッターもあります。
このことについて津田弁護士はこう言っています。
「海外において合法的なライセンスを取得しているオンラインカジノに、日本国内のパソコンからアクセスしたという事案が単純賭博罪とされましたが、外国で合法的に運営されている当事者(運営会社)を日本では処罰できないのに、これに従属する地位にある当事者(遊んだ個人)を処罰することができるのかという論点を争ったところ、結果は不起訴となりました。」
この弁護士の理論武装を検察側は崩せないと判断したのでしょう。
ここで重要な点を整理します。
1.警察は、オンラインカジノの実態が国内において行われていると「評価できる」と判断し、海外運営のオンラインカジノでも胴元は国内にいると「見なした」ことで、遊んだ方だけを国内法で罪に問えると考えた。
2.しかし検察側は、外国で合法的に運営されている当事者(運営会社)を日本では処罰できないのに、これに従属する地位にある当事者(遊んだ個人)を処罰することができないとの理論を打ち破れないと判断した。
つまり、「オンラインカジノの実態が国内において行われていると『評価できる』という判断」と「海外運営のオンラインカジノでも胴元は国内にいると『見なした』こと」は、適切ではないと検察が考えたことにほかなりません。
検察側が不起訴としたということは、「評価できる」や「みなせる」ではダメだと判断したいうことでしょう。法律にきちんとオンラインカジノの利用は禁止するという記載がなければならないことが分かります。
そもそも刑法を根拠に罪を問うときは、似たようなことをしているから法律に明確な定めがなくても検挙できるというのは間違いで、明確にその行為を禁じる法律がなければならないのは、刑法で「類推解釈が禁止」されていることからも明らかです。
「スマートライブカジノ」事件は、合法オンラインカジノの違法性について取り組んだ唯一の事例です。
この事件以降は、海外の合法オンラインカジノで遊んだ人が検挙されたことは、一度もありません。この事実は重要だと思っています。
なお、法律に定めがないから合法であるとか違法性はないというのは早計です。今の時点では、合法であるとも違法であるとも断定できないグレーゾーンであることに違いはありませんから。
オンラインカジノに関する興味深い国会討論
オンラインカジノについて国会で討論された事があります。
令和二年二月十四日提出
質問第六一号
オンラインカジノに関する質問主意
議員は、「刑法の賭博罪は、明治四十年に制定され、インターネットが存在しなかった時代の法規範となっている。インターネット利用を想定した現在の実態に合わせた新たな法律を定める必要があると考える。政府の見解は如何なるものか」など、いくつもの興味深い質問を行っています。
それに対する政府の答弁はこちらです。
政府回答の文末にはつぎのような事が書かれています。
「インターネット利用を想定した現在の実態に合わせた新たな法律」及び「オンラインカジノの合法化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにしても、現時点で、政府として、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条の賭博罪等の規定を改正することは検討していない。
つまり、今の時点(2020年)では、国も司法当局も、違法とも合法とも判断していないし、刑法改正も考えていないということです。
オンラインカジノの合法性(違法性)の検討は先送りされたと解するのが適当だと思います。
このことから言えることは、オンラインカジノを違法とする法律ができるまでは「注意しつつ遊んでも大丈夫」ということ考えるのが一般的な考え方です。
※ 法律家の一部には、カジノは賭博であり悪いことであるから、海外のオンラインカジノの利用は違法であると主張するグループがいるのは事実です。ただ、法律に明確な規定がないのも事実であり、スマートライブ事件以降は、検挙された例がないのも事実です。
プレイする側が注意すべきこと
法律や世の中の動きを常にチェックしましょう。そして、SNSにうかつにオンラインカジノのことを書き込んだり、いくら儲かったとか損したとか公に言うのは、余計な誤解を生むのでやめましょう。
グレーゾーンであることに変わりはないのですから、慎重な行動が求められています。
オンラインカジノが普及することで、何か大きな問題となるようなこと、例えばギャンブル依存症、出金できない詐欺事件、勝利金を申告しない脱税とかが生じてくれば、別の視点からクローズアップされることも考えられます。
何が引き金になって違法性が声高に叫ばれるようになるかは分かりません。そういう意味からも、オンラインカジノに関する動きには注意をはらっておく必要があると思います。
海外の合法オンラインカジノが日本で遊べるようになって2021年で10年ほど立ちますが、例えば知名度の高いベラジョンカジノなどで遊んでいる人が検挙されたことは一度もありません。
なぜ海外のオンラインカジノが日本に進出するのかは、日本は法律でオンラインカジノが禁止されていない大きな市場の一つとして、海外企業としては多くの日本人ユーザーを獲得したいためです。
そのために、完全日本語対応のサイトを運営していると考えられます。
なお、海外のオンラインカジノの運営部門の一部でも日本にあると、日本国内でカジノが運営されていることになるので、運営企業はもちろん、遊んだ方も検挙される可能性が高いですから、遊ぶ側も注意が必要です。
安心して遊べる海外の合法オンラインカジノで、MGA(マルタ共和国)ライセンスを取得しているのは、Gambola(ギャンボラ)です。